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強持て美人
私は警視庁刑事部に所属する機動捜査隊、通称“機捜”に主任として勤務をしている。
階級は警部補。
しかも私は28歳の独身女性であり、準キャリアとして警察庁から出向扱いで警視庁にいるのだ。
勤務はハードで、捜査車両に一日中乗って、事件があればすぐに現場に急行して初動捜査を専門に行うことが任務だ。
9月半ばのある日の勤務の事だった。
私たちはあてがわれている捜査車両に乗り、早くも3時間が過ぎようとしていた。
この間、全く何の事件もなく、現場に急行しないことも珍しい。
「なんだかきもちが悪いですね。自分は機捜に来てからまだ1年ですが、こんなことはなかったような気がします。主任は経験ありますか」
と部下の男性巡査部長が言う。
「私は機捜で2年半かな?でも、私の経験ではこんなことはなかったな〜。なんだか気持悪いわね」と、二人で訝っていた。
彼は27歳。
私より一つ下で、一般募集試験を受験して入ってきた大卒男子だ。
中学から剣道で鳴らし、大学選手権では個人戦で準優勝をした猛者でもあるし、結構イケ面。
私は小学校から空手をやっていて、大学時代に小林流女子部で全国制覇をした経験があるので、何となく通じあうところはあった。
おまけに、私好みのイケ面と言うところがにくい。
そんな私の想いは「至急、至急、警視庁より各局、警視庁より各局。新宿区歌舞伎町二丁目“ホテル○×”において男女の変死体発見との通報あり、
至急現着されたい」と言う無線で途切れた。
「機捜121了解、新宿歌舞伎町一丁目より向かいます」と、私は無線で返した。
「警視庁より、機捜121。警視庁了解」
5分後、私たちは現着した。
現場は凄惨なものではなく、一種異様と言うよりも、エロチックなものだった。
遺体になっている二人は、何と交合したままの姿だったのだ。
まるで映画“失楽園”の最後のような情景であった。
所轄である新宿署からの鑑識の到着と、検視官が現着するまでは遺体に手を触れることはできない。
第一発見者である、ホテルの従業員に聞きこみをしている時、鑑識と検視官がほぼ同時に現着をした。
鑑識が二人が飲んだと思われるワイングラスに残ったワインから、青酸化合物の匂いがすると言う。
また、検視官は重なったままの二人を検視し、それを引離した。
その瞬間、女性の膣口からは大量の精液が流れでた。
それを見て、何となく不謹慎ではあるが、男女の性に掛ける想いの強さを感じてしまった。
初動捜査が一段落し、本庁の一課が到着したので事件を引き継いだ私たちは、四谷にある分駐所に帰り、報告書をまとめて任務を終えた。
「主任、なんとなく疲れましたね。時間、早いけど一杯やりませんか」と、相棒の高木巡査部長が言うので、思わず「うん、いいよ」と言ってしまった。
私たちは強かに飲み、お互いに意識が飛ぶほど酔っ払ってしまったところまでは覚えていた。
次に覚醒したときには、私たちは知らない部屋で抱き合い、激しく求めあっていた。
ものすごい快感に、私は翻弄されて、激しい喘ぎをあげてる自分に気が付いた。
私も女なのだった。
私に対する男子の評価は「強持て美人」だった。
事実、自分でも美人だとは思っているが、男が近寄ってこなかった。
そんな私の評価をものともせずに、私を求め、抱いてくれた高木に感謝している自分に気づき、何となく嬉しくなった。
